2022年1月25日、新宿区・目白のFFF事務所にて、代表の桑江の挨拶と、2021年度の「FFFプロレス大賞」の発表が行われた。
まずは桑江の挨拶(インタビュー)からお伝えしよう。
FFF代表:獣神ダンディー・桑江リョウ
皆さん、今更ですが明けましておめでとうございます。引き続き苦難の多い2021年も何とか乗り越えることができ、今年も無観客とはいえ、まずは1回興行を開催することが出来ました。ありがとうございます。
今年もなかなか元通りとはいかないというのはこの第6波の到来で痛感しているところではありますが、現地でもネットでも変わらず応援してくれているファンの皆さんに少しでも多くの試合をお見せできればと考えています。
本来は年初に発表すべき「FFFプロレス大賞」、大会準備とコロナ対応でこのタイミングとなってしまいましたが、満を持して発表させてもらいたいと思います。
今回も私の独断と偏見で選んだわけですが、各賞については、解説でも御馴染みの方々の投票を参考にさせてもらいました。
それではどうぞ。
■FFFプロレス大賞:Borusse Mohko(チームPVB)
まずは大賞、2021年のFFFの顔です。この賞は多くの票を集めたMohkoの受賞となりました。
評価のポイントは何といってもFTCヘビー級王者に輝いたことでしょう。これまでは絶対王者だった佐山に挑戦する選手の「壁」として立ちはだかっていたわけですが、2冠王者だったフライングVからベルトを奪取すると、最強の刺客であるユンターを相手に防衛し強さを見せつけました。
既に2022年の初戦でキアッピーニ相手に二度目の防衛を果たしているわけですが、今後はPVBを離れた元相棒の佐山の挑戦を受けることもあるでしょう。
PVBを名実ともに引っ張ることになったMohkoが防衛記録をどこまで伸ばすのか、期待したいと思います。
■FFFベストバウト:ダグラス・キンザー vs フライングV(6・18 幕張メッセ・野外特設会場)
今年もかなり票が割れたベストバウト。この日のメインイベントとなったイクヤの引退試合にも票が入った中で、見事にベストバウトに選ばれたのは、そのメインの2試合前に行われたFTCヘビー級のタイトルマッチ。
ユンターを破って第3代のヘビー級王者となり、FFF初の2冠王者に輝いたVの防衛戦の相手は、Rycom-Clubの同胞であるダグラス。
試合は開始直後から終始優勢に進めるダグラスに対して防戦一方のV。ダグラスの強烈なパンチにケンカキック、STF、そして必殺のダグラス・ハマーまで繰り出されて万事休すと会場の誰もが思っていたものの、それをしのぎ切ったVはそこから反撃開始。最後は新必殺技のVゴッドプレスにて、見事な逆転勝利を収めてみせた試合でした。
私はリングサイドでこの試合を見ていましたが、もう会場中のお客さん、そして解説席の人たちも含めて全員がVの最後まであきらめない姿に感動し、いつしか全員でVを後押し。そして最後の勝利の瞬間、会場中が一つになったのを感じました。
時間にするとたったの11分。しかも相手は因縁の相手などではなく同胞であり、人気を二分するダグラスだったにもかかわらず、最後には会場の全員を虜にしたVのファイトは、佐山から受け継がれているFFFのヘビー級の歴史の一ページを彩ったのではないでしょうか。
残念ながらVはその後にシングルのベルトはMohkoに譲ったわけですが、タッグベルトの長期政権は続いていて、今後もその防衛戦で最後まであきらめない姿を見ることが出来ることでしょう。
■FFF最優秀タッグ:フライングV&リカルド・キアッピーニ(Rycom-Club) ※二年連続
二年連続の受賞となったこのタッグにもはや説明は不要でしょう。昨年度の受賞コメントでは「苦しい展開であってもしっかりと勝ち切る二人には、ジュニアタッグとは違い長期政権を築く可能性が十分あると考えます」と話していましたが、正にその通りとなりました。
1年間を通してベルトを維持したばかりか、Vはシングルのベルトも獲得してFFF初の2冠王者にも輝き、キアッピーニもシングル挑戦の最右翼に躍り出ました。
正にこのベルトを防衛することで強くなってきた二人。果たして防衛記録をどこまで伸ばすことになるのか、期待したいと思います。
受賞コメント
フライングV:このタイトルだけは譲りたくないね。3年連続、しっかりとベルトを一年間キープして、また受賞したいと思うよ。
リカルド・キアッピーニ:無事に。というか、勝ち続けてなんとかたどり着いた。という感想です。個人的に激しい試合が続いた1年でした。このベルトを守れたのが奇跡のようです。その分、この受賞は嬉しいです。そして1年後、またこの賞を取っていたらみなさん笑っちゃうほど驚きますよね?3年連続、狙います。ありがとうございました!
■FFF最優秀マスクマン:格闘機神チーバガイン(THE BOW-SAW)
FFF旗揚げ当初、チーバガインはいわゆる「企画のためのイロモノ」として見ていたファンも居たことでしょう。空気を読まないセコンドでの言動にやきもきしたファンからブーイングが出たこともありました。
しかしそれでも全くぶれずめげない彼は着実に経験を積み、シノビと組んでタッグベルトを獲得したと思えば三回目のCMFではまさかの優勝を果たし、何とそのままの勢いでシダーからFTCジュニアヘビー級シングル王者のベルトを奪取。初めて3つのタイトルを獲得した選手として、一気にジュニアの頂点へと上り詰めたのです。
その後はヒーローとしての戦いを模索し、団体戦での戦いが増えているものの、前回優勝者として臨むことになるCMFや、混沌とするジュニアのシングルベルトの防衛など、2022年のFFFジュニアは間違いなくチーバガインを中心に回ることになるでしょう。
誰からも狙われる立場となった彼が、果たしてどのような戦いを見せてくれるのか。CMFを連覇することになれば名実ともにジュニアの顔になることでしょう。それを実現できるのか、見守りたいと思います。
受賞コメント
名誉ある賞をいただきまして誠にありがとうございますっ!!テレビの前のちびっ子達のために地道に頑張ってきましたが、まさかCMFの制覇とベルトを両方とも手にできるとは…2021年が出来すぎた1年だった言われないようにまず今はダークガイン、悪の軍団との戦いに集中して全マスクマンの目標となるべく精進したいと思いますっ!!そしてその先にベルトの防衛とCMFの連覇、プレッシャーはありますが…今年もいくぞーっ!レディー・ゴーーっ!!
■FFF特別賞(MIP=Most Impressive Player):獣神ダンディ桑江リョウ(レッスル・クルセイダーズ)
2021年のMIPは、光栄なことに私が受賞させていただきました。投票いただき感謝します。
2021年は一年を通じて良いフィーリングで試合が出来ていたものの、なかなか結果には繋がらないことが続いていたんですけど、自身の40歳の誕生日に巡ってきた大チャンスをものにして、初のベルトを戴冠することが出来たことが評価していただいたポイントでしょうか。
まあ正直タイトル戦は途中で怪我をしてしまって、スバに助けてもらったというのが本音ですけどね。
ただそれでも欲しかったベルトを得て、今年は出来るだけ多くの防衛をして記録を作りたいと思っていますよ。期待してください。
もちろんシングルも狙ってますから、二冠王も狙っていきたいですね。
■FFF殊勲賞:小倉 大鬼(レッスル・クルセイダーズ)
殊勲賞は、金星を挙げるなど、ここぞの時に結果を出した選手に贈られる賞。2021年のこの賞は票が割れましたが、総合票数を加味して小倉になりました。
これまでは北との同期タッグ”81ers”としての試合がほとんどだったわけですが、チャンスを掴むと対PVBの道場破りを一人敢行。最後の最後で大将格であり前シングル王者でもあるザ・シダーに敗れてしまったものの、そこまでの連勝は見事。
そしてベストバウトの候補にも挙がっていたイクヤの引退試合では、最後の勝利をしっかりと飾ってイクヤの雄姿に花を添えました。
とはいえ本人はこの受賞は悔しい思いもしていることでしょう。「ここぞのシダー戦に勝てなかった」と。その悔しさをバネに、今年は更なる飛躍を期待したいと思っています。
受賞コメント
ありがとうございます。正直悔しさのほうが勝りますけど、ただそれでも一年間の戦いを評価いただけたというのは光栄ですよ。
とはいえまだ何も得ていないわけですから、今年こそ必ずベルトを腰に巻いてみせますよ!
■FFF敢闘賞:ヤス辻本 ※ミルク三世(雑草レジスタント)
敢闘精神あふれるファイトを見せてくれた選手に贈られる敢闘賞は、雑草レジスタントから選ばれました。なお同じ雑草レジスタントからZONOにも票が入っていたことを付け加えておきます。
ヤスにとって激動となった2021年。大きな出来事と言えばもちろん、CMFで最下位となってミルク三世からヤス辻本へと生まれ変わったことでしょう。
元々ミルク三世時代においても、コンドーの禊の試合の対戦相手をしっかりとこなすなどの活躍が見られましたが、何といっても生まれ変わってからのインパクトは絶大! あっという間に人気者になりましたね。
元々の飄々としたファイトスタイルに、大阪気質の少々荒いファイトも合わさり、必殺技の”ナニワズドリーム”の威力と共に、イロモノではないしっかりとしたファイトを多くの人に認めさせたのではないでしょうか。
CMF後に素顔になった後は、バトルロイヤルでも終盤まで残り会場を沸かせたり、タッグ戦ではしっかりと勝利を収めるなど、今年の活躍には大いに期待が持てますね。
昨年のM-1で錦鯉が優勝したように、FFFのリングの上でもベテランの星として大活躍を楽しみにしたいと思います。
受賞コメント
おおきにな! ま、確かにワシもワシ自身の素で居られる今の姿っちゅうのが楽やねん。ミルクの時もそれはそれで楽しかったんやけどな、ヒーローズの立場もあるし、雑草の方がワシに向いてるんやろうな。
今年もナニワで良い夢見せたるで!
■FFF技能賞:タカシ・コンドー(THE BOW-SAW→フリー)
優れた技能を持っている選手に贈られる技能賞。今回だいぶ票が割れましたが、ここはコンドーさんを選びました。
単なる技能だけではなく、2021年を象徴する技となった「肩固め」ブームを作った功績を評価した形ですね。
これまでのコンドーさんは本当に紆余曲折のレスラー人生ですが、2021年については所属がフリーになったものの、共に肩固めを得意とするクラウスとの越境タッグではジュニアタッグのベルトを奪取。防衛には失敗したものの、今度はヘビー級との戦いにジュニアの身でありながら挑戦するというのは、なかなか出来るものではありません。
2022年はデスロッカーズとの抗争が続く限り、ヘビー級相手の苦しい試合が続くかもしれませんが、一年ラストの試合で新生ロッカーズ相手に勝つ寸前まで持っていった肩固めの切れ味は今年も健在でしょう。
必ずどこかでヘビー級相手に金星をあげてくれるのではないでしょうか。楽しみです。
受賞コメント
おおっ!?技能賞?もらえるの?オレに…?
うん、もちろん嬉しいよ、賞をもらえるだけありがたいし。…けど今はデスロッカーズの連中とやり合ってて、ひたすら力不足を感じてるところだからね(笑)もともと自分にはテクニックがあるって思ったことはなくてさ、マスク脱いだり坊主になったりで紆余曲折の中で身につけてきた生き残り術みたいなもんかな。ミル…現ヤッさんとかクラウス、チバンダー、ベテラン勢みんなからお灸をすえられたり、はっぱをかけてもらったりして肩固めも身につけたから、もっと昇華させたいっていうか一撃必殺にしたいっていうか…とにかく立派な賞をもらったからには結果で報いたいよね。ヘビー級の中に混じって「次の技術」を模索していくよっ!!
■FFFベストやなわらばー:花見川幸一(破浪我輪)
FFFで最も大暴れしたワル(ヒール、沖縄方言で"やなわらばー"=いたずらっこ)に贈られる賞であるこの賞は、テロリスト集団「破浪我輪」を結成した花見川が選ばれました。
花見川の2021年は念願のFTCシングルベルトへの挑戦で華々しく幕を開けるはずでした。本人も気合十分だったでしょう。しかし待っていた結末は残酷なものでした。当時の王者であるユンターに場外で失神K.O.で敗れるという衝撃的な展開・・・。
その後はダグラスとのタッグで復帰してPVB相手に惜敗するまでは王道の展開だったものの、続いてのMarcoとのシングル戦で乱心。バットを振り回すという暴挙に、会場からはブーイングの嵐でした。
そこからの花見川は、まるで人が変わったかのようにダーティーなファイトを見せるようになります。ZONOとの再戦で初代FTCエモコア王者に輝いたかと思うと、実力者を揃えたバトルロイヤルでは他のほとんどの選手から非難されるようなファイトで勝ち残ったり、鴨川とのタイマン勝負では敗れて丸坊主に、そして遂には千葉をボディブローで失神K.O.で葬ってからの破浪我輪の結成と、この一年、間違いなくFFFの話題の中心には花見川が居たといえるでしょう。
正に「最も大暴れしたワル」というのは、2021年の花見川のためにある言葉かもしれません。
さて2022年はどのような動きを見せるのか。私にも全く見通せません。予測不能なファイトと言動で、良くも悪くも今年も話題の中心になってくれると思います。
受賞コメント
何だよ、オレ様によこすなら大賞しかねえだろうがよ!どんだけオレ達2人がFFFにエンターテイメントを提供してると思ってんだよっ!!今後、オレと赤我武多亞以上におもしれぇヤツが出てこねぇ限り、勝手にやなわらばー改め破浪我輪大賞を選ばせてもらからな!そこんとこ、夜・露・死・苦っ!!!!
■FFFベストヤングシーサー:該当なし
FFFの若手であるヤングシーサーの中で最も輝いた選手に贈られるこの賞は、前回までは二年連続でリカルド・キアッピーニとなっていました。
2021年も大活躍したキアッピーニですが、その活躍によって逆にもうヤングシーサーは卒業だろう、と皆から評価された形です。
キアッピーニ以外のヤングシーサーたちの活躍を振り返ると、残念ながら特筆した活躍は無く、今回は該当なしとしています。
さあ2022年はどのような選手が出て来るでしょうか。まだヤングシーサー扱いにはなっていた皇と前川は二人そろってKing's Soulに参加しているわけで、新たな選手のデビューが待たれます。
■FFFちばりよ~賞:ナル・マスカラス(c.d.s.)
翌年に向けて奨励したい、つまり頑張って欲しい選手に贈られる”ちばりよ~(沖縄方言で頑張れ!)”賞。今回はナルさんに贈りたいと思います。要は今年の”エール”ということですね。
もちろんこれまで同様、マッチメイクという重責を担った点は誰もが評価しているところでしょう。そこは私も信頼しています。
ただ純粋にプロレスラーとしての活躍という点においては、2019年、2020年に比べるとどうしても2021年は物足りなかった、不完全燃焼だったと言えるでしょう。そこは本人も自覚しているのではないでしょうか。
前回のこの賞の受賞者であるTAKETO・MANに敗れてCMFにも出場できず、c.d.s.としてもFFFの中心になる様な抗争を繰り広げることも出来ず、本人のファイトにも迷いが見られた気がします。
裏方に引っ込むのはまだまだ早い、もっともっとFFFの中心に躍り出て欲しいという皆の期待が、記者たちからの投票からも分かります。
ナルさんの2022年に期待したいと思います。まずはCMFですかね?
受賞コメント
ちばりよ〜賞。まぁ、自分としても納得しているが、なぜこの状態になったのか、わからないんですよね。笑 今までヒーローズや妖怪軍団との抗争に勝利してきた流れでc.d.s.の価値を上げていたんだが。。。
とりあえず2022年は足掻くところから始めます。無様な姿をお見せするかもしれませんが、それもプロレス。プロレスラーとしてのナル・マスカラスの真価を見てください。必ずFTCジュニアベルトを手に入れます。
■FFF特別功労賞:イクヤ=タカシ(雑草レジスタント→引退)
FFF旗揚げ以来、初めての引退選手となったイクヤ。その引退試合はイクヤに所縁のある選手たちが集い、熱い試合を見せてくれたことで、ベストバウトの候補としても評価されました。
またMIPの候補にもなったイクヤには、これまでの感謝も込めて特別賞を贈らせてもらいます。
これまでの数多くの激戦の記憶を置き土産にしつつ、今後はデスマッチのレフェリーとして、そして”麦仙人”を名乗ってのヤングシーサーの育成にと、FFFの裏方として長く活躍してくれることでしょう。
本当にありがとう。そしてこれからもよろしく!
というわけで、2021年度のFFF各種プロレス賞の発表は以上となります。
初戦は無観客にての実施となりましたが、今年も熱い戦いをどうぞご期待ください!