2023年1月21日、FFF第47回大会の開会前に、新宿区・目白のFFF事務所にて、代表の桑江の挨拶と、2022年度の「FFFプロレス大賞」の発表が行われた。
まずは桑江の挨拶(インタビュー)からお伝えしよう。
FFF代表:獣神ダンディー・桑江リョウ
皆さん、今更ですが明けましておめでとうございます。そして本日の第47回大会への来場、ありがとうございます。
コロナだけでなくロシアウクライナ情勢まで加わり、大変な世の中ではありますが、そんな中でもこうして大会に足を運んでくれる皆さんには感謝です。もちろん報道してくれる記者のあなたたちにも。
さて本日の大会前の発表となりますが、「FFFプロレス大賞」を発表させてもらいたいと思います。
今回はこれまでの私の独断と偏見ではなく、投票権を持った有識者たちとの協議(FFFプロレス大賞審議会)にて決定いたしました。ただだからこその結果にもなったわけですが・・・。
それではどうぞ。
■FFFプロレス大賞:該当なし
まずは大賞、2022年のFFFの顔です。これが何と今回、該当なしとなりました。これまでベストヤングシーサー賞の該当なしはありましたが、最高賞であるプロレス大賞での該当なしはもちろん史上初。
投票数だけみると、HGが2票、皇とキアッピーニが1票ずつを集めたわけですが、「果たしてこれでいいのか?」という形で議論が紛糾。
確かにHGはCMF王者にもFTCジュニア王者にも返り咲いたわけですが、それ自体は2020年も既に実現してしまっていたことであり、タイトル戦も熱戦というよりはHGの巧さが目立った試合でした。
2020年においては、プロレス大賞を受賞したわけですが、今回二度目を上げるべきなのかで審議会のメンバー間で激しい議論となりましたが、やはりここはあえて該当なしとして、2023年により気合を入れてもらおうということになりました。
なお、その議論の中で「そもそもヘビー王者の皇の試合が組まれないのがいけないのではないか」という意見も出され、その矛先がマッチメイクのナルにも飛び火するといった一幕も。
何はともあれ、残念ながら「このレスラー!」という2022年の顔は居なかったということも、2022年を表しているのかもしれません。各レスラーの更なる奮起に期待したいと思います。
代わりのコメント
ナル・マスカラス:今回の「該当なし」についてはいろんな意見があると思うよ。それは理解できる。そして、この「FFFプロレス大賞」は我々レスラーにとってもファンにとっても大きな象徴なのも理解できるだろ?FFFも5年目に突入して、その大きな象徴のハードルが上がっている。ということだよ。簡単に、中途半端な選考で受賞させるわけにはいかない。まぁ、これがオレの個人的な見解かな。ただ、2年連続の「該当なし」は避けないといけない。ここから1年。FFF全レスラーが全力でFFFを盛り上げて欲しい。それに期待するしかないね。もちろん、オレもそのために全力を尽くし、何よりオレがプロレス大賞を取るような動きを目指すよ。
あと、なんだか知らんが、審議会の中でオレのマッチメイクに文句が出やがった。文句があるならやってみろ。って言うんだよ。ただただ強いレスラー同士で試合組んでもファンが喜ばないだろ?オレなりにちゃんと流れを見てマッチメイクしているつもりだよ。そうじゃなけりゃ、デス・ロッカーズで何ヶ月も試合なんかするかよ!あぁいう手に負えないヤツらがハプニングを呼んで盛り上がるんだろうけど、そのぶんチャンピオンの試合が組めなくなる。まぁ、文句の内容も分からないわけでもないし、そんなに言うなら今年はさらに踏み込んだ試合を組ませてもらうよ。あとは良い試合をやってくれよ!大事なのはプロレスだからな!しかし、なんでオレがこんなに喋ってんだよ!
■FFFベストバウト:ザ・グレート 千葉&ヘリオス南騎 vs フライングV&リカルド・キアッピーニ(7・1 沖縄アリーナ)
今年はこのタッグタイトルマッチに票が集まりました。見事にベストバウトに選ばれたのは、この日のメインイベント、CMFヘビー級タッグタイトルマッチ。
2020年6月に、王者決定トーナメントで優勝してから実に2年以上もベルトを守り続けている王者の2人は、この日7回目の防衛戦。相手となるのは2021年5月に二度目の防衛戦の相手だった千葉とヘリオス。リベンジに燃える挑戦者の二人が序盤からペースを握るも、王者組もさすがのコンビネーションで応戦。
試合は20分を超え、どちらが3カウントを取られてもおかしくない攻防も、お互いがカットをして相方を救う展開が続く中、最後の最後に一瞬の隙をついてキアッピーニがヘリオスからドラゴンクラッチでタップを奪い、再度の防衛に成功したのでした。
結局その後も王者の二人は年間を通してベルトを防衛することとなり、正にFFFの歴史に残るベストタッグチームとなったわけですが、その二人のベストバウトとしてこの試合も語り継がれることでしょう。
受賞コメント
ザ・グレート 千葉:いやいや、ホントこの受賞は複雑な気分だね。勝利した方じゃない限りどうしても悔しい記憶になっちゃうよ(苦笑)。しかもこっから再挑戦するどころかBautismoの連中とやりあって勝てないまま年を越しちゃったからさ...。この受賞を糧にしてヘリオスと二人、タッグチャンピオンになる目標をしっかり達成できるようにしたいよね。Vとキアッピーニを王座から引きずり下ろすのはオレ達二人だからねっ!
ヘリオス 南騎:ベストバウトに選ばれたというのは素直に嬉しいよ。嬉しいけどさ、まあね。やっぱ勝った試合が良かったよね。ただ自分自身にとってもこの試合は忘れられないよ。ベルトに手をかける寸前、王者の意地っていうものに負けたんだからね。あの試合があったからこそ、飽くなきタッグベルトへの欲望が出るっていうものさ。願わくば今年は勝ち試合でまたベストバウトを獲りたいね。
フライングV:二年連続のベストバウト、ありがたいことです。しっかりと相手を受け止めて、その上で勝つ。それがワタシ、そしてリカルドのスタイルですよ。それをファンが評価してくれてるっていうことは、嬉しいですね。今年はまたシングルベルトにも挑戦したいし、タッグベルトもいつまでも守りたいし、その戦いの中で三年連続のベストバウトを受賞したいですね。
リカルド・キアッピーニ:もしかしたらベストバウトが一番嬉しい賞かもしれないですね。とても嬉しいです。ありがとうございます!
あの試合についてはカットやタッチのタイミングとか、もしかしたら技の選択や受け身の位置とか全てが少しでも違えば結果は変わっていたかもしれない内容でした。痛くて辛いんですが、どこか高揚していく感覚を覚えています。つまり、4人の最高の作品だと思います。そして、Vさんとそんな作品をまた作れるようにベルトを守り続けますよ。
■FFF最優秀タッグ:フライングV&リカルド・キアッピーニ(Rycom-Club) ※三年連続
まさかの三年連続の受賞となったのがこのタッグ。先のベストマッチでも語ってしまいましたが、にもはや説明は不要でしょう。昨年度の受賞コメントでは「苦しい展開であってもしっかりと勝ち切る二人には、ジュニアタッグとは違い長期政権を築く可能性が十分あると考えます」と話していましたが、正にその通りとなりました。
1年間を通してベルトを維持したばかりか、Vはシングルのベルトも獲得してFFF初の2冠王者にも輝き、キアッピーニもシングル挑戦の最右翼に躍り出ました。
正にこのベルトを防衛することで強くなってきた二人。果たして防衛記録をどこまで伸ばすことになるのか、期待したいと思います。
受賞コメント
フライングV:有言実行。2022年もタフな相手ばかりだったよ。トミーにMohko、そしてベストマッチになった千葉と南騎・・・。それでも最後までベルトを守りきれた。この自信は、オレのプロレス人生にとっても大きいね。今年も行けるところまで守り続けて見せるさ。
リカルド・キアッピーニ:まさかの3年連続。ありがとうございます!去年も同じことを言っているかもしれませんが「奇跡」ですね。毎回ギリギリの試合で跳ね返せたのも信じられないけど、自信にはなっています。間違いなくこのベルトが僕を成長させてくれました。誰にも渡したくないですね。今年も守り続けます!
■FFF最優秀マスクマン:パーントゥHG(琉球妖怪軍団)
最優秀マスクマンは、2019年、2020年と受賞したHGが3度目の受賞となりました。もはやFFFを代表するマスクマンとしての地位は確立したと言ってもいいでしょう。
CMF王者そしてジュニア王者にも返り咲き、2023年に狙うはジュニアタッグとの3冠と、CMFの4度目の優勝でしょうか。
そして一年を通してジュニア王者を守り切れば、次回こそ満場一致で二度目のプロレス大賞を獲得できるのではないでしょうか。
■FFF特別賞(MIP=Most Impressive Player):ナル・マスカラス(c.d.s.)
2022年のMIPは、デスロッカーズとの抗争に何故か巻き込まれてしまい、結果的にその抗争に終止符を打つことになったナルが選ばれました。
コンドーが敗れた後で出番が回ってきたアクマとの一騎打ちは、会場が異様な雰囲気に包まれている中で、対ヘビーという不利な条件だったにもかかわらず見事に勝利。
昨年「ちばりよー賞」に選ばれたナルでしたが、自身のファイトで見事に期待以上の試合を見せられたのではないでしょうか。
2023年は、いよいよc.d.s.が本格始動することでしょう。リーダーとしてどうFFFのリングを席捲していくのか、期待したいと思います。
受賞コメント
ナル・マスカラス:色んな人が言われるけど、去年は「ちばりよ〜賞」を受賞して、そこから這い上がったわけだ。憎たらしいけど、キッカケはアクマ、サトシで複雑な気持ちだよ。笑
とにかく相手が誰であれヘビー越えを果たせたことが大きい。これは自分にとって非常に大きな勝利だよ。この勝利で2023年c.d.s.をしっかりやろう。と思えるようになったんだ。桑江社長にしろ、コンドーさんにしろベルトを獲っているが、そろそろオレの順番にしてやりますよ。
あと、アクマ戦のドラゴンスクリューを基本にした戦法。これは猪木アリ戦からヒントを得ている。どんなに凡戦と言われようとあの戦い方を選んだアントニオ猪木。彼がいたからオレもあの戦い方を選べた。感謝しています。
■FFF殊勲賞:皇 克馬(King's Soul)
殊勲賞は、金星を挙げるなど、ここぞの時に結果を出した選手に贈られる賞。2022年は、見事ヘビー級のベルトをMohkoから奪取した皇が選ばれました。
正直、まだまだ若手だと思っていた皇が、同じユニットである佐山やトミーを差し置いて先にベルトを獲るとは。正直ファンも有識者も誰も思ってもみなかったのではないでしょうか。
しかし皇はその予想を見事に覆し、新王者に輝きました。若くしてベルトを獲って、そこから飛躍的な成長を遂げるレスラーも多く居ますが、皇も同じような道を歩んでいくのではないでしょうか。
惜しむらくは、若くしてベルトを獲り、周りとの因縁があまり無いこともあって、なかなかタイトルマッチが組まれていないことです。ただプロレス大賞を獲得するためにも、皇自身も防衛戦を渇望することでしょう。2023年の皇に期待です。
受賞コメント
皇 克馬:殊勲賞をいただけたことは喜ぶべきなのでしょうが、大賞を取れなかった悔しさが大きいです。ヘビー級のチャンピオンとして防衛を重ね、2023年は文句なしで大賞をいただけるように、精進していきます!
■FFF敢闘賞:チャーリー・ブロンソン(c.d.s.)
敢闘精神あふれるファイトを見せてくれた選手に贈られる敢闘賞は、見事に復活を遂げたチャーリーが選ばれました。体をシェイプアップし、以前より更に狂気も感じさせつつも気迫あふれるファイトは、復活を待っていたファンも大満足だったことでしょう。
今後どういった路線に行くのかは分かりませんが、少なくとも2022年の記憶に残る一戦として、対花見川を挙げる人は多いはず。2023年のチャーリーから目が離せませんね。
■FFF技能賞:暗黒機神ダークガイン(c.d.s.)
優れた技能を持っている選手に贈られる技能賞。今回もだいぶ票が割れましたが、「噛みつき」一本で多くの観客を沸かせているダークガインが選ばれました。
この一年で「ダークガイン=噛みつき」という印象がだいぶ強くなりましたね。ファンだけでなく対戦相手からも噛みつきを警戒する試合前コメントも多かったわけですが、その警戒を越えて炸裂する噛みつきは、FFFジュニアの名物になりつつある気がします。
2023年、果たして何人の選手がダークガインの噛みつきの餌食になってしまうのか。楽しみにしたいと思います。まあ選手としては嫌ですけどね。
受賞コメント
暗黒機神ダークガイン:やっとこの俺様の魅力に気がついたってわけだな(笑)。ま、別に俺は「噛む行為」そのものを趣味にしてるわけじゃないんだ、あくまで勝つための手段であり観客を盛り上げるためのエンターテイメントなんだよ。そのためのタイミングとか魅せ方にはそれなりのコダワリがあるってことさ、フン!2023年も相手が誰だろうと血に染めてやるから覚悟しておけ!そしてベルトを手にしてCMFの頂点に登り詰めてやるっ!!
■FFFベストやなわらばー:アクマ・ロッカー(デス・ロッカーズ)
FFFで最も大暴れしたワル(ヒール、沖縄方言で"やなわらばー"=いたずらっこ)に贈られる賞であるこの賞は、コンドー&ナルと抗争を繰り広げたアクマが選ばれました。
コンドー相手の激勝、そしてナルからのリベンジでの敗北。勝ち負けはあれど、会場全体を敵に回すようなファイトは、まさに”やなわらばー”というに相応しいでしょう。
2023年、デス・ロッカーズはどうなるのか。そしてそれを受けてアクマはどう動くのか。現段階では全く見えないわけですが、どうなったとしてもアクマのヒール性は変わらないことでしょう。それに良くも悪くも期待したいと思います。
受賞コメント
アクマ・ロッカー:これは「ありがとう」て受けていいものなんだろうか。でもまあ、評価されたということでしょ? 相変わらず先輩たちは僕を悪者にして付きまとってくるけど、もういいんですよそんなことは。
僕は今年は次のステージに行かせてもらいますよ。それを見ててください。
■FFFベストヤングシーサー:AKITO(レッスル・クルセイダーズ)
FFFの若手であるヤングシーサーの中で最も輝いた選手に贈られるこの賞は、正に新星となったAKITOが選ばれました。
FFF初の二世選手で、かつイクヤ改め麦仙人の道場で鍛えられた初めての選手であるAKITOはデビュー戦から注目を集め、セコンドで父親のTAKETOが見守る姿も微笑ましかったわけですが、元気溢れるファイトでタッグで金星を挙げたと思えば、15分のチャレンジマッチでは1勝1分に。2023年の飛躍を大いに期待させました。
キアッピーニがタッグベルトを守り続け、皇がヘビー王者になった今、前川も含めたこの世代はもう完全にヤングシーサーは卒業でしょう。
2023年は新たなヤングシーサーのデビューも予定されていますので、次回誰が選ばれるか今から楽しみです。もちろんAKITOの飛躍も。
受賞コメント
AKITO:ありがとう! プロレス、楽しいね! 穴掘りと同じくらい僕好きだよ。一応お礼を伝えておくと、お父さんに師匠の麦仙人さん、ありがとう。今年もどんどん鍛えてね。
■FFFちばりよ~賞:リュウキュウ・ビート(レキオ・ヒーローズ)
翌年に向けて奨励したい、つまり頑張って欲しい選手に贈られる”ちばりよ~(沖縄方言で頑張れ!)”賞。今回はビートに贈りたいと思います。要は今年の”エール”ということです。
ビートへの期待は、マッチメイクからも見て取れるわけですが、そのチャンスをなかなか掴めていないのが実情でしょう。実力は誰もが認めるところですが、そのもうあと一歩をどうするのか。2023年こそ、ビートが躍動する姿を見たいところです。
そのヒントは、ダークガインに”OKITEYABURI”で噛みついたあの必死な姿ではないでしょうか。華麗なファイトに過激さや狂気をエッセンスとして加えること、それがビートがベルトを狙うための道かもしれません。
受賞コメント
リュウキュウ・ビート:悔しいけれど、自分自身この賞に値するということを認識してるよ。でもこの賞をとってブレイクする選手も多いんだ。期待の表れでもあるわけだからね。だからこそ今年はベルトかCMF優勝、どちらかは必ず獲りたい。そのために全力を尽くすよ。
というわけで、2022年度のFFF各種プロレス賞の発表は以上となります。
今日の試合を皮切りに、今年も熱い戦いをどうぞご期待ください!